この仲間はずれは、過去の小学校入試問題を参考に作成しました。この問題集は「仲間はずれ」ですが、「仲間集め」の問題も同種のものです。
仲間はずれの問題に取り組む際は、言葉には個々のものを表す言葉と、仲間を表す言葉があることに注意を向けさせてください。そうすれば、表面的な音声としての言葉から、言葉の中身を考える方向に思考が向かい始め、法則性を発見する能力・思考力が身に付きます。
仲間を分類する言葉として、動物・植物・野菜・果物や、電化製品・台所道具・文房具など、すでに仲間を表す言葉が確立しているものも多いですが、一番下の問題で、「足のもの」と「頭のもの」というように、仲間としての言葉で表現できないものもあります
仲間はずれの問題は、見方を変えると違う解答になる場合があります。一番上の問題では、正解は「たぬき」で、理由は「爬虫類ではない」ですが、「へび」で「足がない」という解答も成り立ちます。
すべて違う生き物ですが、差異や共通点はたくさんあります。観点を変えていろいろな可能性を考え、その中から差異や共通点を見つけることが大切です。そのためには、普段から物事を言葉で説明するような訓練が必要になってきます。
子どものうちは見えるものだけでしか差異を見出すことができません。この問題に取り組む際は、色や形のような単純な違いだけを認識させるのではなく、そこから用途や材質についても質問するようにしてください。
仲間はずれの問題は、小学校受験でもよく出題されますが、さまざまな角度から物事を見る能力が育っているかを確かめるには最適だからです。もちろん、社会に出ても物事をできるだけ多くの観点から判断する能力は、とても重要視されます。
この問題は、単純に紙の上のトレーニングだけで解けるようにはなりません。実際に親子でいろいろなものを見て、それについて違いや共通点を問いかけて、具体的な言葉で説明させるようにしてください。当然、自らの思考を言語化するためには、ことばの能力も必要になってきます。
実物に触れながら学ぶのが一番いい方法ですが、市販のカードゲームで遊びながら学ぶのも一つの方法です。その際は、1つの課題で観点を分散させず、同じ差異や共通点を見つけるようにしてください。たくさんカードがあると、どうしても観点がばらけてしまいますが、それでは実際の試験で解答できなくなってしまいます。
仲間はずれの問題に取り組むためには、当然ながら見る力や判断力が必要ですが、それ以上に重要なのは思考を言語化する能力です。解答のために直接必要な能力ではありませんが、これこそが差異や共通点を見つけるための思考力を養うトレーニングになるのです。
親子でこの問題に取り組む際は、その点に留意するようにしてください。解答できても、その理由がきちんと説明できなければ、問題を理解していることにはなりません。
仲間はずれの問題以外にも、仲間集め・数の差異・同類図形の発見などの応用問題がありますが、基本はすべて同じです。これらの問題と同時に、能力育成問題集17「童話・昔話」・能力育成問題集18「ことば」・能力育成問題集19「しりとり」などの問題集で言葉の能力を鍛えましょう。