図形の位置を記憶し、再現します。簡単に見えますが、使い方によっては非常に高い知能が育ちます。また、この「位置の記憶」は、単純に記憶力を鍛えるだけの教材ではありません。「記憶力」は「暗記力」ではないことをまず知ってください。
使い方ですが、○△×などが描かれたプリントをページごと切り離して、お子様に10秒ほど見せます。それから、解答用のプリントを渡してとらえた形を描かせます。
指導の初期は、○△×などの形、数と並び方のみならず、空白の部分についても、数と並び方を同時に関係としてとらえるように指導します。たとえば、上の問題ならば「○が3つあって、その並び方は上段の真ん中と下段の左右で、○が三角形のように並んでいる。反対に空白の部分は逆三角形のように並んでいる」という具合です。
つまり、○△×などの形を一つ一つ記憶するのではなく、全体でとらえるようにするのです。
全体でとらえられるようになったら、次はまずお子様にどのようにとらえるのかを言わせてみて、別の考え方やとらえ方についてもアドバイスします。ある程度こなせるようになったら、自分で考えさせて解答させればよいでしょう。
「位置の記憶」を使うためには、「点描写」や「平面位置」などもできるようになるとよいでしょう。思考力の向上のためには、空間位置把握能力を鍛えることも重要です。
前にも述べましたが、「記憶力」とは「暗記力」ではありません。広い視野で全体的に見て、関係把握能力、空間位置把握能力、判断力、数能力などをフル回転させて、問題をとらえるようにするのが、真の記憶力を高める方法です。そうすれば、単に暗記したり覚えたりしなくても、きちんと解答することができるようになります。記憶力とは、思考力そのものなのです。
「位置の記憶」も、点描写と同様に子ども向けの教材でありながら、大人の能力向上や、学習障害(LD)児対策、老人の認知症対策などにも使えまず。「位置の記憶」は簡単に見えますが、様々な能力を必要とする高度な教材なのです。